相続法(民法)の改正⑥ 「贈与税の配偶者控除」

2020/07/28 その他
相続法(民法)の改正⑥ 「贈与税の配偶者控除」

民法の改正事項の中で、「贈与税の配偶者控除」について確認していきます。

制度の概要

婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産の遺贈又は贈与がされた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。

※この特例は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。

制度利用の要件

●婚姻期間が20年を過ぎた後に行われた贈与
●贈与された財産が 国内の居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭であること
●贈与を受けた翌年の3月15日までに該当不動産に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
●必要書類を添付して贈与税の申告をすること

 

対象となる居住用不動産

贈与を受けた配偶者が居住するための国内の建物又はその敷地です。
居住用建物の敷地には借地権も含まれます。

なお、居住用建物とその敷地は一括して贈与を受ける必要はなく、建物や敷地のみ贈与を受けた場合も配偶者控除を適用できます。

 

【居住用建物のみを贈与した場合の配偶者控除適用の要件】
建物がある敷地の所有者が夫か妻、又は、贈与を受けた配偶者と同居する親族であること

【居住用建物の敷地のみを贈与した場合の配偶者控除適用の要件】
居住用建物の所有者が夫か妻、又は、贈与を受けた配偶者と同居する親族であること

 

まとめ

贈与や相続において、配偶者は大きな権利を有しています。
贈与税の配偶者控除のほか、相続税の配偶者控除など、その他の制度と比較して効果的に活用できるものを選びましょう。

 

※執筆時点で有効

執筆者

萩原岳 プロフィール

東京外国語大学中国語学科卒業
株式会社アプレ不動産鑑定 代表取締役
http://apre-kanntei.com/
不動産鑑定士 MRICS(英国不動産鑑定士)

 在学中より不動産鑑定業界に携わり、2007年不動産鑑定士論文試験合格、2010年不動産鑑定士として登録する。数社の不動産鑑定士事務所勤務を経て、2014年株式会社アプレ不動産鑑定を設立し、現職。

 相続税申告時の不動産評価など税務鑑定を専門とし、適正な評価額の実現を掲げ、相続人と共に「戦う不動産鑑定士」として活動する。また、実務で培った経験をもとに、「相続と不動産」について税理士、弁護士、不動産事業者など相続の実務家を相手とした講演活動も行っている。

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