令和4年施行「重要土地等調査法の概要」

2025/04/09 その他
令和4年施行「重要土地等調査法の概要」

法の制定経緯

国境離島や防衛関係施設周辺等における土地の所有・利用をめぐっては、かねてから安全保障上の懸念が示されてきました。
こうした状況の中、「経済財政運営と改革の基本方針2020」(令和2年7月17日閣議決定)において、「安全保障等の観点から、関係府省による情報収集など土地所有の状況把握に努め、土地利用・管理等の在り方について検討し、所要の措置を講ずる」ことが決定されました。
この決定を受け、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(以下「重要土地等調査法」という。)が、令和3年6月23日に公布され、令和4年9月20日に全面施行されました。

 

目的

重要施設(防衛関係施設等)及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止

①重要施設及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本的方向
②注視区域及び特別注視区域の指定に関する基本的な事項(経済的社会的観点から留意すべき事項を含む。)
③土地等の利用の状況等についての調査並びに利用者に対する勧告及び命令に関する基本的な事項(勧告及び命令に係る行為の具体的内容に関する事項を含む。)

 

重要土地等調査法の執行

この法律に基づく以下の措置が実施されました。

注視区域・特別注視区域の指定

重要施設(防衛関係施設等)の周囲おおむね1,000メートルの区域内及び国境離島等の区域内の区域で、その区域内にある土地等(土地及び建物)が機能阻害行為(重要施設や国境離島等の機能を阻害する行為)の用に供されることを特に防止する必要があるものを、注視区域として指定することとしています。
また、重要施設や国境離島等の機能が特に重要、又はその機能を阻害することが容易で、他の重要施設や国境離島等によるその機能の代替が困難である場合は、注視区域を特別注視区域として指定することとしています。

 

土地等の利用状況の調査

注視区域・特別注視区域内の土地等を利用して機能阻害行為が行われることを防止するため、それらの土地等の利用状況を調査することとしています。

 

特別注視区域内における届出

特別注視区域内にある土地等に関する所有権等の移転又は設定をする契約を締結する場合には、契約の当事者に、届出を求めることとしています。

 

土地等の不適切な利用の規制

注視区域・特別注視区域内の土地等を利用して機能阻害行為が行われた場合等に、土地等の利用者に対し、必要な措置をとるべき旨の勧告・命令を行うこととしています。

 

(出典:内閣府 重要土地等調査法の概要)

 

 

執筆者

萩原岳 プロフィール

東京外国語大学中国語学科卒業
株式会社アプレ不動産鑑定 代表取締役
http://apre-kanntei.com/
不動産鑑定士 MRICS(英国不動産鑑定士)

 在学中より不動産鑑定業界に携わり、2007年不動産鑑定士論文試験合格、2010年不動産鑑定士として登録する。数社の不動産鑑定士事務所勤務を経て、2014年株式会社アプレ不動産鑑定を設立し、現職。

 相続税申告時の不動産評価など税務鑑定を専門とし、適正な評価額の実現を掲げ、相続人と共に「戦う不動産鑑定士」として活動する。また、実務で培った経験をもとに、「相続と不動産」について税理士、弁護士、不動産事業者など相続の実務家を相手とした講演活動も行っている。

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