不動産調査に必要な基礎的前提②

2018/03/24 不動産調査
不動産調査に必要な基礎的前提②

2.調査に取りかかる前の事前準備

役所調査や現地調査を円滑に進めるため、住宅地図など調査にあたって必要な資料を入手してください。また、インターネットや電話、郵送請求などによって法務局調査や役所調査の一部を事前に行うこともできます。

評価対象を確定するためには、対象地の所在(住宅地図)・数量(登記簿等、測量図)・形状(公図、測量図)などがわかる資料を用意してください。最近はグーグルマップなどインターネット上の地図もずいぶん精度が高くなっていますが、ゼンリンの住宅地図や地番も載っているブルーマップが望ましいです。住宅地図が手元にない場合でもインターネット(ゼンリン住宅地図プリントサービスhttp://www.zenrin.co.jp/j-print/、手元PCからも登録でき、最寄りのコンビニで印刷できます)や図書館(国立国会図書館、公立図書館など)でも入手できます。

入手した住宅地図やインターネット等を利用して、現地や役所に行く前に周辺環境などを調べておくと、現場での作業に無駄がなく、また、調査漏れや見逃しが少なくなります。周辺の地域は戸建が主か、マンションの建設動向はどうか、周囲に嫌悪施設はないかなど、地図を見るだけで把握できる情報は多く、特にグーグルストリートビューなどを利用すれば、行かずにして現地周辺の雰囲気がつかめます。また、役所調査に行く前に担当部署の所在地は必ず確認しましょう。一箇所で済む場合は問題ありませんが、担当部署が複数箇所にまたがっている場合、特に異なる住所の庁舎に分散されている場合は、調査計画を見直さなくてはいけません。

事務所にいながらにしてあらかじめ調査内容の一部を調べることができます。法務局資料はインターネットで全部事項証明や公図等が入手できます(事前登録が必要です)し、インターネット対応がしていないところでも郵送請求が可能です。役所調査についても、用途地域や道路幅員などをインターネットで公開している市町村もありますし、電話でも教えてくれる役所もあります。ただし、役所調査については机上調査だけで済ますのは調査漏れが生じる可能性がありますので禁物です。例えば、ある市町村では用途地域はインターネットで確認できますが、地区計画については対応していません。インターネット上で公開されている情報だけで満足してしまうと、対象不動産の用途規制等を見逃してしまいますので、必ず窓口で確認してください。その際、あらかじめインターネットで調べてきたが、抜けがないか確認したい、と伝えると作業がスムーズです。

 

不動産調査に必要な基礎的前提①

不動産調査に必要な基礎的前提③

不動産調査に必要な基礎的前提④

 

執筆者

萩原岳 プロフィール

東京外国語大学中国語学科卒業
株式会社アプレ不動産鑑定 代表取締役
http://apre-kanntei.com/
不動産鑑定士 MRICS(英国不動産鑑定士)

 在学中より不動産鑑定業界に携わり、2007年不動産鑑定士論文試験合格、2010年不動産鑑定士として登録する。数社の不動産鑑定士事務所勤務を経て、2014年株式会社アプレ不動産鑑定を設立し、現職。

 相続税申告時の不動産評価など税務鑑定を専門とし、適正な評価額の実現を掲げ、相続人と共に「戦う不動産鑑定士」として活動する。また、実務で培った経験をもとに、「相続と不動産」について税理士、弁護士、不動産事業者など相続の実務家を相手とした講演活動も行っている。

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