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- 1.相続対策の基本①
1.相続対策の基本①
1-1.3つの対策プラス1
〇相続対策は分割・納税・節税プラス「承継」
相続対策は①遺産分割対策、②納税資金対策、③節税対策の3種類あることがよく知られています。しかし、いずれかに偏った対策をしてしまうと、全体としていびつな対策となり、結果的に「やらなければよかった」ということになりかねません。そこで、4番目の対策として、次世代が円滑に財産を受け継ぐ、④財産承継対策が重要となります。
①分割対策
相続財産の分割について、相続発生後に残された相続人同士でもめないよう生前の内から分割方法について検討します。分割協議自体は期限はありませんが、申告期限までにまとまっていないと小規模宅地の特例や配偶者控除が受けられません。特に、相続発生直後は遺産分割について話し合える機会は少なく、早くとも四十九日以後になることが多いため、いっそう猶予期間は短くなります。そのため、生前の内からある程度話し合いの場を設ける必要があります。
また、場合によっては分割協議が不調に終わり、相続争いに発展することもあります。分割対策をすることにより、争族リスクを低減される、もしくは備えることができます。
②納税対策
どのようにして相続税を納付するかについて検討することも重要ですが、それ以前にいくら相続税がかかるのかを把握しておくことが重要です。財産の全容を調査し、推定相続人を特定し、いくら現金が必要なのか、不動産をどれだけ売却すれば事足りるのか、どの物件を継続保有しどれを手放すのか、などを検討します。
③節税対策
②で把握した相続税額をいかにして減らしていくかを検討します。贈与、資産管理会社の設立、不動産の整理・処分・購入、資産の組み換え等を駆使し、税額を減らしていきます。納税者にとっては最も利点を感じられる対策といえます。
④承継対策
現在所有の財産を、以下に次世代及びその下の世代に受け継がせていくかを検討します。推定相続人等との情報の共有や資産管理方法の教育、専門家や業者との顔合わせ等が挙げられますが、上記①~③の対策を実施するうえで、「円滑な承継」を核として思考・行動する点が最も重要です。
注記:執筆時点の税制等に基づきます。
また、本記事の内容は萩原岳不動産鑑定士による研修「鑑定評価を使った相続対策」のテキストを抜粋して掲載しております。本研修は口頭及びホワイトボード等を用いた追記情報が多数ございます。