1.相続対策の基本③

2018/12/14 相続対策
1.相続対策の基本③

1-2.相続対策のメリット②

〇税理士のメリット
相続対策のメリットを享受するのは納税者だけではありません。対策を提案する税理士にも以下のようなメリットがあります。

 

・能動的な受注
相続税の申告業務は「待ち」の業務です。いつ発生するかがわからないため後手に回りがちですし、通常業務の繁忙期と重複してしまうと蜂の巣をつついたような状況になってしまいます。下手をしたら、あまりの忙しさに致命的なミスが生じてしまう可能性もあります。一方、相続対策はこちら側から提案することができるため、スケジュールが管理しやすく、自分たちのペースで作業を進めていくことができます。また、いざ相続が発生した場合も既に準備ができているため、迅速に対応することができます。

 

・リスク(否認・争族等)の低下
相続発生後に、土地評価等を工夫することにより評価額を低く抑え、節税することができます。しかしながら、財産評価基本通達とにらみ合い、税務署と交渉しながら時に解釈の分かれるようなグレーゾーンにある評価をすることもあり、常に否認リスクと隣り合わせです。一方で、相続対策であれば否認リスクが著しく低い対策によって税額を劇的に削減することができます。
また、事前に家族間の関係を把握することで、相続争いを未然に防げる可能性があり、仮に争いが勃発したとしても迅速に対応をとることができます。

 

・「更正屋」対策
更正屋とは、ここでは①専ら他社の申告書を見直し、成功報酬を受け取る、②顧問先をもたず、当初申告を行わない、③税務調査には立ち会わないを定義とします。彼らはの主体は税理士であり、資産税に精通しているうえ、不動産鑑定士や弁護士と密接に関連しているほか、金融機関や司法書士、土地家屋調査士、不動産業者と連携しています。更正請求自体は納税者の正当な権利ですが、昨今は敵対的ともいえる更正請求が問題となっています。
相続対策により円満な分割協議を終え、相続税額を削減することができれば、営業力の強い彼らの網から外れることができます。

 

 

注記:執筆時点の税制等に基づきます。

また、本記事の内容は萩原岳不動産鑑定士による研修「鑑定評価を使った相続対策」のテキストを抜粋して掲載しております。本研修は口頭及びホワイトボード等を用いた追記情報が多数ございます。

 

相続対策の基本①

相続対策の基本②

相続対策の基本④

相続対策の基本⑤

 

執筆者

萩原岳 プロフィール

東京外国語大学中国語学科卒業
株式会社アプレ不動産鑑定 代表取締役
http://apre-kanntei.com/
不動産鑑定士 MRICS(英国不動産鑑定士)

 在学中より不動産鑑定業界に携わり、2007年不動産鑑定士論文試験合格、2010年不動産鑑定士として登録する。数社の不動産鑑定士事務所勤務を経て、2014年株式会社アプレ不動産鑑定を設立し、現職。

 相続税申告時の不動産評価など税務鑑定を専門とし、適正な評価額の実現を掲げ、相続人と共に「戦う不動産鑑定士」として活動する。また、実務で培った経験をもとに、「相続と不動産」について税理士、弁護士、不動産事業者など相続の実務家を相手とした講演活動も行っている。

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