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遺留分と不動産の価格②
2.基礎となる財産額
①財産評価基本通達(相続税評価額)
相続税及び贈与税の申告に用いる価格であり、国税庁の定めた財産評価基本通達に則り評価を行う。客観的な価格ではあるが、画一的な評価方法であるため、対象不動産の個別性を反映させるには限界もあり、時価と乖離することもある。一般的に地価公示価格の8割程度といわれている。
イ.評価額が時価よりも高いケース(取得者有利)
無道路地、底・借地、別荘地、極端な不整形地、地方・郊外物件等
ロ.評価額が時価よりも低いケース(請求権者有利)
商業地、マンション用地、通常の戸建住宅、需要の高いエリア、旧広大地等
ハ.物件により乖離があるケース
収益物件、海外物件等
②固定資産税評価額
固定資産税等の課税根拠となる価格であり、総務大臣が定めた固定資産評価基準により評価される。相続税評価額と同様の理由により時価と乖離することもある。一般的に地価公示価格の7割程度といわれている。
③不動産業者による無料査定
取引を担う不動産業者による査定であり、査定システムを導入していることも多く、時価との乖離は少ない。ただし、未熟な担当者による場合は、物件の種類次第では時価と乖離することもある。また、業者の査定には基準や規制がないため、依頼者にとって極端に有利となるような価格をあえて出すこともある。
なお、不動産の鑑定評価に関する法律33条及び36条により、不動産鑑定業者以外の者が有償で不動産の評価を行うことが禁じられている。
④不動産鑑定評価額等
不動産鑑定業者の作成した不動産鑑定評価額等の場合、不動産の鑑定評価に関する法律等により規制されているため、時価と乖離するケースは少ない。ただし、恣意的な評価や技量不足による評価など不当・不適切な評価もあるため、見極める必要がある。
注記:執筆時点の税制等に基づきます。
また、本記事の内容は萩原岳不動産鑑定士による研修「不動産鑑定を活用した遺留分減殺請求戦略セミナー 」のテキストを抜粋して掲載しております。本研修は口頭及びホワイトボード等を用いた追記情報が多数ございます。