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行き止まり私道評価事件(東京地判平成26年10月15日)Ⅱ.判旨①
1.結論
原告の請求を棄却する。
2.相続により取得した財産の価額の評価に関する基本的考え方
相続税法22条は、相続により取得した財産の価額につき、特別の定めのあるものを除くほか、当該財産の取得の時における時価によるべき旨を定めているところ、ここにいう時価とは、当該財産の客観的な交換価値をいうものと解されます。
ところで、相続税に係る課税実務においては、評価通達において、相続により取得した財産の価額の評価に関する一義的基準を定め、画一的な評価方式によって財産の価額を評価することとされています。
このような方法が採られているのは、相続税の課税対象である財産には多種多様なものがあり、その客観的な交換価値が必ずしも一般的に確定されるものではないため、財産の客観的な交換価値(時価)を上記のような画一的な評価方式によることなく個別事案ごとに評価することにすると、その評価方式、基礎資料の選択の仕方等により異なった金額が相続に係る財産の「時価」として導かれる結果が生ずることを避け難く、また、課税庁の事務負担が過重なものとなり、課税事務の効率的な処理が困難となるおそれもあることから、財産の価額をあらかじめ定められた評価方式によって画一的に評価することとするのが相当であるとの理由に基づくものと解されます。
そして、評価通達に定められた評価方式が当該財産の取得の時における時価を算定するための手段として合理的なものであると認められる場合においては、前記のような相続税に係る課税実務は、納税者間の公平、納税者の便宜、効率的な徴税といった租税法律関係の確定に際して求められる種々の要請を満たし、国民の納税義務の適正な履行の確保に資するものとして、同法22条の規定の許容するところであると解されます。
さらに、上記の場合においては、評価通達の定める評価方式が形式的に全ての納税者に係る財産の価額の評価において用いられることによって、基本的には租税負担の実質的公平を実現することができるものと解されるのであって、同法22条の規定もいわゆる租税法の基本原則の1つです。
租税平等主義を当然の前提としているものと考えられることに照らせば、特段の事情がある時(評価通達6)を除き、特定の納税者あるいは特定の相続財産についてのみ評価通達の定める評価方式以外の評価方式によってその価額を評価することは、たとえその評価方式によって算定された金額がそれ自体では同法22条の定める時価として許容範囲内にあるといい得るものであったとしても、租税平等主義に反するものとして許されないものというべきです。
行き止まり私道評価事件(東京地判平成26年10月15日)Ⅱ.判旨②
行き止まり私道評価事件(東京地判平成26年10月15日)Ⅱ.判旨③
行き止まり私道評価事件(東京地判平成26年10月15日)Ⅱ.判旨④