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マンション敷地事件(東京地裁平成25年12月13日判決)Ⅱ判旨①
1. 贈与により取得した財産の価額の評価に関する基本的な考え方
相続税法22条は、贈与により取得した財産の価額につき、同法第3章において特別の定めがあるものを除き、当該財産の取得の時における「時価」によるべき旨を定めているところ、ここにいう時価とは、当該財産の客観的な交換価値をいうものと解されます。
ところで、贈与税に係る課税実務においては、評価通達において財産の価額の評価に関する一般的な基準を定めて、画一的な評価方式によって贈与により取得した財産の価額を評価することとされています。このような方法が採られているのは、贈与税の課税対象である財産には多種多様なものがあり、その客観的な交換価値が必ずしも一義的に確定されるものではないため、贈与により取得した財産の価額を上記のような画一的な評価方式によることなく個別事案ごとに評価することにすると、その評価方式、基礎資料の選択の仕方等により異なった金額が時価として導かれる結果が生ずることを避け難く、また、課税庁の事務負担が過重なものとなり、課税事務の効率的な処理が困難となるおそれもあることから、贈与により取得した財産の価額をあらかじめ定められた評価方式によって画一的に評価することとするのが相当であるとの理由に基づくものと解されます。
そして、評価通達に定められた評価方式が贈与により取得した財産の取得の時における時価を算定するための手法として合理的なものであると認められる場合においては、上記のような贈与税に係る課税実務は、納税者間の公平、納税者の便宜、効率的な徴税といった租税法律関係の確定に際して求められる種々の要請を満たし、国民の納税義務の適正な履行の確保(国税通則法1条、相続税法1条参照)に資するものとして、相続税法22条の規定の許容するところであると解されます。
さらに、上記の場合においては、評価通達の定める評価方式が形式的に全ての納税者に係る贈与により取得した財産の価額の評価において用いられることによって、基本的には租税負担の実質的な公平を実現することができるものと解されるのであって、同条の規定もいわゆる租税法の基本原則の1つである租税平等主義を当然の前提としているものと考えられることに照らせば、評価通達に定められた評価方式によっては適正な時価を適切に算定することのできない特段の事情があるとき(評価通達6)を除き、特定の納税者あるいは特定の財産についてのみ評価通達に定められた評価方式以外の評価方式によってその価額を評価することは、たとえその評価方式によって算定された金額がそれ自体では同条の定める時価として許容範囲内にあるといい得るものであったとしても、租税平等主義に反するものとして許されないものというべきです。
マンション敷地事件(東京地裁平成25年12月13日判決)Ⅱ判旨②
マンション敷地事件(東京地裁平成25年12月13日判決)Ⅱ判旨③
マンション敷地事件(東京地裁平成25年12月13日判決)Ⅱ判旨④