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役所調査⑩
埋蔵文化財
埋蔵文化財に関しては土壌汚染と同様、財産評価基本通達に直接の規定がなく、なおかつ、土壌汚染のような情報もありません。しかしながら、周知の文化財包蔵地に指定されている土地の中には、利用の制限や発掘調査を要するものもあり、標準的な土地と等しく取り扱うべきではないケースもあります。そこで参考になるのは平成20年9月25日裁決事例集No.76です。
同裁決事例によれば、「発掘調査を行わなければならないことが明らか」であり、「発掘調査費用は、その所有者(事業者)が負担すること」になり、「発掘調査基準」に基づいて積算したところ調査費用が高額になるため、「一般的利用が宅地であることを前提として評価される本件各土地において、その価額(時価)に重大な影響を及ぼす本件各土地固有の客観的な事情に該当する」と認められ、しかも、「付されている路線価は、周知の埋蔵文化財包蔵地であることを考慮して評定されたものとは認められない」と指摘しています。
また、「財産評価基本通達上に発掘調査費用の負担に係る補正方法の定めも認められない」ことから、所要の検討をした結果、「土壌汚染について~中略~費用負担が法令によって義務付けられる状況に類似する」ものと認められることから、発掘調査費用額の80%相当額を控除して評価することが相当であるとしています。
ただし、土壌汚染のケースを準用しているため、課税時期において「可能性がある」だけでは足りず、「存在すると判明」している必要があります。すなわち、ただ単に周知の文化財包蔵地に指定されているだけではなく、学術調査や試掘調査の結果、文化財が包蔵されていると判明していなくてはいけません。個別の案件については所管税務署および教育委員会との話し合いが必要になります。
周知の文化財包蔵地かどうかの確認は教育委員会の「生涯学習振興課」や「文化財係」のほか、郷土資料館などが担当していることもあります。教育委員会は概ね市役所にありますが、郷土資料館などは通常離れた場所に所在することが多いため、役所調査のついでに訪問するには不便です。そこで、FAXによる問い合わせが便利です。住宅地図に印をつけたものを担当部署にFAXすると、半日程度で回答が得られます。
出典:東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス
http://tokyo-iseki.jp/